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すごい久々にブログ書く気がしますが、、10日くらい前にこんなツイが流れてきました。
お盆を利用して友人が遊びに来てるんだけど、彼言わく、
「マレーシア安くないじゃん」って
気づきましたね、食事もお酒入れたら日本の方が安いです。ちなみに人件費的にそこそこの人材を雇用しようと思ったら月30万円前後は出さないと辞めちゃいます
日本の地方の方が賃金も安いんじゃないだろうか
— マレーシア移住🇲🇾/Hiroshi Hanyuda (@hanyudai_kl) August 18, 2019
そのときはそうなんだ、という感じで読み流してしまったのですが、それがなぜか10日後の昨日、眠れないなかでふと脳裏を過ぎったのです。
まぁなんとなく東南アジアの急速な発展を見ている限り、いつかはこういった逆転劇が起きてくるだろうなとは思っていました。
でもそれらを飛び越えて脳から聞こえてきた言葉は、
日本のモノってくそ安くね-?
ってことでした。
この一言からいろんなことを連想してですね。
勝手に推論をかましていこうと思ったのがこの記事の趣旨です。
統計データはありません。
強いて言えば斜めに構える一飲食店経営者が見据える今後といったところでしょうか。
それでは書いていきます。
1.日本人の貧困を加速させてる原因は提供物の価値を間違えてるからなんじゃない?
そもそも、今あなたが提供してる価値って本当にその価値なの?って話です。
まぁ給与が上がらないあるいは低すぎるって苦言はもうここ数年で耳にタコができるほどあちらこちらから聞こえてきますが、、
その原因って単純に提供している価値以下の値段設定にされてるからなんじゃないかと思うわけです。
で、誰が設定してるのっていうとそれは二人います。
一人目は、お客に滅私奉公してるように見せかけて実はそのしわ寄せを従業員にさせて破格の人件費で補ってる経営者
二人目は、値上げすると家計を圧迫するからやめろとか言いつつ自分の趣味には金をつぎ込む都合のいい消費者
よく『安くて良いものを』とかいう謳い文句がありますが、あれって従業員を安く買い叩いて初めて生まれる言葉なんですよ。
そんな都合のいいものあるわけがない。
誰かが割を食わされてるだけでそれは従業員の低い給与に相当するというだけです。
滅私奉公がモノの価値基準を狂わせる
お客様は神様だ。
いいや、ふつうの人間です。あなたも私もみんな対等です。
取引は等価交換なので、どちらかが偉いということはありません。
クレーマーがお店に来まして(最終的に警察が10人以上で対応)お客様が店主の私に対して客に向かってなんだその態度は‼️お前は何様だと‼️言ったので、返金しますよ、返金したらお客様は客じゃ無くなるでしょう?返金しますと言いました😊
お客様が自分が客か決めるのでは無く店側が客か決めるのです😊😊— キッチンDIVE🔔 (@divemamuru) August 26, 2019
とても気持ちのいいツイートで、思わず胸がスカッとしました。
これまで提供する側がなぜかペコペコ頭を下げるというとてもくだらん風習が日本には蔓延してました。
過去形で書いてるのは最近SNSで声を上げるお店が増えて大分マシになったからです。
お客はお店を選ぶ⇔お店がお客を選ぶ
ですがこの当然の行為をもっともっとスタンダードにしていかないと、いつまでたっても提供物や店の価値は上がっていきません。
これは勝手な憶測かもしれませんが、日本人の感覚っていつも”原価・諸経費”のみで考えるんですよね。
これってプロのイラストレーターに紙とペン渡してハイ、原価100円ね、であと何君の人件費?コレ多分一時間位で描けるよね?じゃあ時給1000円と原価100円と設備費100円合わせて1200円あげるね!だからやってね!
究極はこの感覚なんですよ。
そこに手間とか工夫とか技術とか知識とか経験っていう報酬がほとんど含まれない。
でも海外だとがっつりこの部分は頂くだろうなという感じです。
だから安かろう悪かろうくそコンテンツが増えていく、、これは飲食業界にも往々にしてあることです。
値上げしてお客が消えていく店は四流以下のお客を相手にしてるから
よくチェーン店などで見聞きしますね。
たかだか数十円値上げしただけで、ぶーすか文句をたれて離れていくお客。
こういうお客ってつまりはお得に空腹を満たせればいいという2点だけしか意識してないんですよ。
だから値段が上がると去っていく。
まぁそれはお客の勝手なので別にいいのですが、問題はそこではありません。
それに合わせて価格を下げるという店側の滅私奉公です。
今の日本はこの滅私奉公こそが飲食業界ひいては産業全体を蝕んでいます。
だから貧乏なんですね。
価格を下げることで競争してるんですから当然です。
食品だから安くなければならないという幻想
多分、根本的にこういう意識があるんでしょうね。
特に食べることに関しては生物のライフラインでもあるので、より安く提供されるべきだと認識されがちです。
ですが、正直にいうとそれは提供側には関係ないことです。
提供者もそれで飯を食わなきゃならないですから、安く買い叩かれては困るわけです。
一般的な考え方であれば、好きなことにはお金をかけて、どうでもいいことは安く済ませようとしますよね。
だから旅行のために食費を削る、趣味のために食費を削る、欲しい物のために食費を削る。
それは結構ですが、だから安くしろという理論はこれまた提供してる側には関係のないことです。
ですが、滅私奉公クラスタは
『みんな生活が厳しいからせめて食だけは安く提供できるよう我社は努力しよう、そのためには人件費を削り給与を下げてワンオペでもやむなし』
とか考えちゃうんですよ。
そこに漬け込んで消費者が煽りだすので、どんどんどんどん傷のなめ合い状態になり、やがては誰もが損するデフレスパイラルに陥っていきます。
長い目でみればモノが安くなればなるほど給与も下がります。
それはみんなで安いモノのとされる価値しか提供できなくなるからです。
しかもその安くしろという要望に応えたことで、提供側が潰れても誰一人として責任をとらないんですから、こんな馬鹿げた理論は成り立ちませんよね。
2.消費者側の視点
前述したのは主に提供者側の視点ですが、逆に消費者側の視点はどうなのかという話です。
さきほど前述したとおり、人は好きなことや興味があることにはお金をかけるものです。
ここで少し自分のお話になりますが、食には空腹を満たすという生命維持の役割の他にも嗜好品という側面があります。
僕が飲食店を続けるにあたりもっとも大事だと考えてるのはこの嗜好品としての価値提供です。
つまり空腹が満たされると同時に高い満足感や充足感を得られる『好き』の付加価値です。
お店には雨が降ろうが槍が降ろうが毎日欠かさず来るお客さんが数名います。
ここ一年でその人を見なかったことがないというくらいのマニアです。
逆に来なかったら安否確認を疑うレベルかもしれません。
こういったお客さんは超がつく一流です。
もう完全なファンなので、値段より自己欲求を最優先します。
つまり、値段ごときで離れることはないと言い切れるくらいのお客さんです。
彼らは至って丁寧に振る舞い黙々と食べて、さっと出ていく。
店側に一切の負担を強いることなく完璧すぎる絵に書いた理想のお客です。
でもこれは何も特別なことではなくて、自分が好きなものに相対するときはみんなそうなのではないでしょうか。
ゴルフが好きで好きでたまらない人が、キャディに向かって『何かと高すぎるから安くやってくれ』なんて言わないですよね?
釣りがめちゃくちゃ好きなのに餌を買いに行った上州屋で『この餌高すぎだから安くしろ』とか言わないですよね?
答えは単純で好きだからです。
人は好きなものに対して寛容であり、長く関係性を持ちたいからこそ対等に向き合おうとするわけです。
奥さんに1万払って食べるカレー
僕の店の常連さんのなかには少し有名な文豪の方がいますが、最近歳をとって店舗への来店頻度は減っています。
その代わり通販で商品を注文するこが増えてきました。
久々に顔を合わせたとき、彼は笑いながら言いました。
『通販の商品は製法上、じゃがいもが入れられないでしょう?
だけど僕は店と同じ再現性がほしい。そこで奥さんに頼んでじゃがいもを蒸してもらうんだけど、
その手間賃が一回1万円でね、商品より高く取られるんだよ。参っちゃうよな。
でも同じ再現性で食べたいという僕の欲求はお金すらお手上げなんだ。
つまり僕にとってこのカレーにはそれ以上の価値があるってことなんだよ』
僕のような貧者からすれば笑い話、雲をつかむような話でしかないですが、こういった人は少なくとも存在するわけです。
好きなラーメン屋が倍の値段になったら行きますか?
自分も提供者であり消費者、、というかだいたいの人はそうだと思いますが、僕も食べることは月並みに好きです。
この好きなものには金かける理論を自分に置き換えて眠れない間ずっと考えていました。
ちなみに僕の好きなラーメン屋さんは一杯500円です。なんとリーズナブルでしょう!
これがもし1000円になっても行くかという自問自答をしたとき、秒で『行くわ』ってなりました。
つまりは腹を満たす以上の付加価値があるということです。
もっというと、自分が好きなものであるがゆえにずっと通いたいから値上げしてもクオリティが変わらないなら1500円でも行きます。
値上げされるより潰れるほうが大分困るので。
年収200万以下のバリバリ貧者でさえ、そう思うんですよ?(笑)
だからふつうの人はもっと高くても平気ですって絶対。
それが好きの力です。
ここで思うのは十分金をかける価値が食にはある、ということです。
これは車とかゴルフとか釣りとかブランドものとかと何ら変わらない嗜好品のカテゴリーに位置づけされてる証拠です。
3.日本人の料理のクオリティは高い、堂々と値上げしてブラック職種のイメージを払拭しろ!!
ね~自分でも言うのものあれですが、飲食業界ってマジで響き悪いんですわ(笑)
将来性薄い、リスクはバカでかい、大変なのに稼げない、長時間労働、精神論とか脳筋タイプが多い等々
初期投資少なくとも1000万くらいかかるのに売れなかったら全部自己責任で負債に変わって仕事さえ失うんだよ-。
だから飲食の人となんて一緒になりたくな~い(^_^;)
もうね、こんなんばっかw
でもすごく当たってるし、本当にその通りなんですよね。
だけどこんなくそみたいなイメージばっかりがずっと蔓延ってていいの?
そのうちリスクばかりで誰も手を出さなくなって衰退の一途をたどる業界になってもいいの?
こんな美味い飲食店の宝庫だらけの国なのに?
僕は嫌ですね。
正直に言えばリスク見合うリターンがあって初めて成立するのがこの手の職業だと思うので。
滅私奉公して四流客相手にお客様ぁお客様ぁって手もみしながら数百円のもの売らされてる人の面なんか見たくないんですわ。
海外からもかろうじて日本食はクオリティが高いと言われてるだけに自ら価値を落としてどうするのって話。
世の中には安いものに飛びつく人は多いですが、高くないと飛びつかないって人もいるんですからね(審美眼の精度は別として)
一流のお客さんを相手にファンを構築して、自分が納得できる適正価格まで持っていきたい。
そのためにはこういった裏事情も理解していただかないといけないわけです。
だから価格競争なんてやめて自信あるなら堂々と値上げしていきましょう!
巡り巡って好循環をもたらすにはこの方法しかないと思います。
というわけで寝れない間に考えたことをぶちまけてみました。
お読み頂きありがとうございます。
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